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13th Album「100」インタビュー〈全曲解説〉2018.06.29

13th Album「100」オフィシャル・インタビュー

ポップスとは「最強のノンジャンル」であるということを、w-inds.がここに証明する

 メンバー3人の年齢を合わせた数=『100』をタイトルに冠した今作のテーマはズバリ、ノンジャンルのポップスであると、橘慶太は語った。ついに慶太が全編セルフプロデュースを手がけたニューアルバムが、ここに堂々完成。昨年1月にリリースされた38枚目のシングル“We Don’t Need To Talk Anymore”以降、慶太はw-inds.の楽曲を精力的にセルフプロデュースするようになったと同時にボーカリストとしてもさらに推進力を向上させ、千葉涼平と緒方龍一もそのパフォーマンス力を活き活きと更新していった。その結果、これまでw-inds.の音楽に触れていなかったメディアや洋楽志向の強いバンド、リスナーからも注目を集めるようになり、本作『100』は彼らが今や名実ともに日本のポピュラーミュージックシーンにおいて唯一無比のダンスボーカルグループとなったことをまざまざと証明してみせる。
 7月7日には初の主催フェス「w-inds. Fes ADSR 2018 -Attitude Dance Sing Rhythm-」の開催を控え、間髪入れずに7月13日から毎年恒例の全国ツアーがスタートする。インディR&Bやトロピカルハウス、ニュージャックスウィングなどに目配せしたワールドスタンダードなサウンドを自分たちのものにし、さらに本質的なグルーヴを漂白せずにJ-POPに昇華するということ。それを実践するのは並大抵のことではない。しかし、彼らは13枚目のアルバムにして、ついに自分たちの手で理想的なポップミュージック像をつかみとったのである。日本のカルチャー全体が「ガラパゴス」と揶揄されるように、アジアの中でもJ-POPサウンドが遅れを取っていることを、w-inds.は誰よりも自覚している。だからこそ、3人は絶え間なく楽曲制作と音楽表現力を磨き上げ、満を持してこのタイミングでセルフプロデュースでアルバムを作り上げることで、それを払拭しようと決意した。その結実に感動すら覚える。心から大きな拍手を送りたい。『100』に収録されている全12曲がJ-POPのスタンダードになることを願うばかりだ。まずは、3人が覚えている本作の手応えを述べた言葉を経て、全曲解説をお送りしよう。

慶太「今作はよりw-inds.の歴史を感じながら、w-inds.なりのポップスを1枚のアルバムで表現したいという思いが強かったです。ポップスという名のジャンルレス。そういうアルバムを作りたかったし、そういう作品ができたという自負があります。セルフプロデュースですか? スケジュールがなかなかタイトだったので、大変ではありました。でも、本当に面白かったし、勉強になりましたね」
龍一「ついにセルフプロデュースでアルバムを作れたなと感慨深いものがありますね。いつかそういうときがくるとは思っていたんですけど、このタイミングがジャストだったんだなと。今年の初めにマネージャーがふと『3人の年齢を足したら100になるね』と言ったんですね。その言葉に僕らは感動しちゃって。『それをアルバムのタイトルにしたらいいんじゃない?』ってなったんです。だから、まずタイトルが先にあって制作がスタートしたんですよ。アルバムに向けて慶太がクリエイトしてくれた曲に毎回ドキドキして。スケジュールはタイトでしたけど、1曲1曲を大切にレコーディングして車に移動中に聴いたり、家に帰って聴いたり、そういう日々を過ごしていました。幸せな時間でしたね」
涼平「約2ヶ月間のレコーディングはいつも以上にチャンジしたし、すごく濃厚な時間を過ごしました。もちろん、慶太が一番濃厚だったと思うんですけど、w-inds.としても密な時間を共有できたという充実感がすごくあります。だから、このアルバムに詰まった楽曲の思いは今まで以上に強いです。リリースされたら、その思いはもっと強くなると思います。慶太のディレクションですか? 厳しかったですよ(笑)。いや、厳しくもあり、面白くもあり。そのバランスがよかったです。気を遣わないのでスムーズに進んでいくのも気持ちよかったですね」


01.Bring back the summer
慶太「ライブのオープニングをイメージして作った曲です。イントロのコードと一緒に〈Bring back the summer, then w-inds. Is back this summer again〉というフレーズが出てきまして。これはもう、w-inds.の夏のアンセムになると思います。ライブではバンドサウンドで歌うことも意識しましたね」
龍一「この曲は泣きましたね! 〈Temporary〉のMV撮影後に慶太からこの曲のデモを聴かせてもらって。僕たちの歴史と現在、リスナーの方々や周りの人たちとの関係性がリンクしていて、すごく胸が熱くなる曲でした」
涼平「長い歴史があるからこそ歌える楽曲だし、ファンの人たちにもこの曲を聴いてたまらない気持ちになってもらえたらうれしいですね。個人的には夏の始まりもそうだけど、夏の終わりにも聴きたいなと思ってます」


02.Dirty Talk
慶太「2016年にニュージャックスウィングを取り入れたいと思って作った曲ですね。シングルとしてリリースしてから、ライブでパフォーマンスをしてより強度が増しましたね。パンチがあるのに柔軟性のある曲だと思います。バンドと一緒にやると超楽しいんですよ。誰も気づかない秘話として(笑)、シングルバージョンに入ってるサブベースの音とアルバムバージョンに入ってるサブベースの音をちょっと変えてるのもポイントです」
龍一「トラックが大人っぽいし、オシャレですよね。ダンスも抜きを大事にしていて、気負っていないところが好きです」
涼平「とにかくサビの抜きが超気持ちいいですね!」


03.Temporary
慶太「自分の中でも日本人に響くカッコいいポップスが作れたという達成感があります。ドロップのフューチャーベースな感じがちょっと新鮮味がないかなという危惧があったんですけど、でも、みんなに聴かせたらすごく評判がよくて。今では僕自身もすごく気に入ってます」
龍一「MVも『あえて踊らないで撮りたいね』という話になって。この曲が持っているストーリー性とリスナーのストーリーが自然にリンクするように、w-inds.の武器であるダンスを封印した状態で無機質だけどクールなMVを撮ったんです」
涼平「慶太も言ってましたけど、日本人の心に届くポップスだと思います。日本人ならではの情景が浮かぶというか。あと、やっぱりサビのドロップのところがいいですね。言葉がないからこそ、想像力を掻き立てられる」


04.I missed you
慶太「2年くらい前からアメリカンポップスの要素のある曲を作りたいと思っていて、それがこの曲のテーマになりました。遠距離恋愛の歌なんですけど、曲を作った瞬間にストーリーを思いついて。最近のw-inds.の曲になさそうな歌詞を書いてみようと思って書きましたね」
龍一「Bメロを、僕と涼平くんで1番と2番を歌い分けているんですけど、2人のキャラクターの違いを上手く出せたのがよかった。そのあたりに注目してもらえるとうれしいです」
涼平「僕も同じことを思っていて。やっぱりそこがポイントだよね」


05.Celebration
慶太「この曲は『w-inds.がバンドとしてデビューしたら?』ということを想像して作りました。バンドとしてのデビューシングルを出すならこれ!っていう(笑)。実は初の全編英詞の曲でもあります。Spotifyでw-inds.の曲が日本の次に聴かれているのがアメリカだということがわかって。僕もビックリしたんですけど、海外にアプローチする曲もアルバムに入れたら作品全体の引きが強くなるなと思ったんですよね」
龍一「突然、慶太から『龍一くん、ギターよろしくね! 涼平くんはピアノだから!』って言われて。『どういうこと? ああ、バンドを結成したらという話ね』というやり取りがあって(笑)。トラック自体はすごくシンプルなんだけど、明るさと軽快な心地よさがあるんですよね。エレピから始まって、サビに向かって徐々にトラックとメロディが高揚していく感じがめっちゃ気持ちいいですね」
涼平「最初にデモを聴いたときに『めっちゃいい曲!』って思いました。これも嫌いな日本人がいるのかなと思いますね。w-inds.ファンのみんなも絶対好きだと思う。それくらいキャッチーでハッピーな世界観があるし、ライブの画が鮮明に浮かぶ曲でもあります」


06.We Gotta Go
慶太「この曲も英詞ですね。オケは音数の少なさを意識しました。それこそ、Spotifyで海外アーティストの曲を聴いたときに音圧が高ければ高いほど、いろんな音が入ってくればくるほど音が小さくなるんですよ。音数が少ないほうが大きく聴こえる。その原理を思ったときにiPhoneで聴いたときに音数が少ないほうがきれいに聴こえるなと。そういうところを意識しました」
龍一「“Celebration”もそうですけど、英詞ということもあり、発音だったりニュアンス的なところをかなり気をつけましたね。この曲は3人が全員ラップしているし、3人で歌メロも歌っていて。その全員主人公感が面白いですね。ライブでやるのも楽しみです」
涼平「まさにこの曲は発音ですね。そこをがんばりました。〈Don’t hesitate〉というラップ部分の発音に苦戦して歌録りにかなり時間をかけました(笑)」

07.Time Has Gone
慶太「自画自賛ですけど、あらためてアルバムで聴くとカッコいいですね! 本当によくできている曲だと思います」
龍一「うん、カッコいい! 音の配置の仕方が狂ってる(笑)、いい意味で。音像の臨場感がヤバいですね」
涼平「個人的にも最近の中で大好きな曲ですね。喪失感を音で表現するという慶太の発想が素晴らしいと思います」


08.Stay Gold
慶太「最初に浮遊感のあるシンセのリフを思いついて。サイドチェインをかけてグルーヴを出しているのがポイントですね。偶然の産物で生まれたフレーズです」
龍一「リズムの表と裏を見失う曲なんですよ。すごく難しい。表しか鳴ってないのに、メロディはめっちゃ裏なので。大サビでようやく安心して表でノれる。歌詞を全部日本語ではめてくれたところに慶太の優しさを感じました(笑)」
涼平「不思議な曲ですね。すごくクセになるし、ずっと聴いていられる魅力があると思います。慶太の人生論が垣間見れるメッセージ性の強い歌詞もいいですね」


09.The love
慶太「本当はこの曲をリードにしようと思っていたんです。今のトレンドのR&Bのニュアンスがあって、サウンド的には新しいことに挑戦しようと意識した曲でもあります」
龍一「慶太の声のレンジの広さ、そこにすごく感動しました。あと、ビートの構築の仕方がすごく面白い」
涼平「Aメロのキーがめっちゃ低いよね。やっぱり慶太はすごいボーカリストだなと思いました。僕は2番のAメロでオクターブ上を歌ってるんですけど、慶太はよくこのメロディのオクターブ下を歌えるなと関心しましたね」


10.All my love is here for you
慶太「サウンド的にはちょっと古いニュアンスと最新のニュアンスを混ぜるような実験をしていて。お気に入りのポイントは2番のサビですね。リリックのはまり方がすごく好きです。この曲の一番のお気に入りはサビの最後のコードチェンジです」
龍一「個人的に歌録りはすごく苦戦しましたけど、オケに慶太のリズム感のよさを感じましたね。慶太がどのように音楽を聴いて、どういう音楽に気持ちよさを感じるのか。そういうところがこの曲に詰まってるんじゃないかと思います」
涼平「僕と龍一くんが歌っているフロウ感のあるヴァースのノリがすごく気持ちよくて。そこはディレクションしてくれた慶太に感謝ですね」


11.Drive All Night
慶太「アルバムにこういうアッパーなパーティチューンがあればいいなと思って作りました。実はこれもシングル候補曲だったんです」
龍一「リズムの表現の仕方が面白い。ベースラインの音色然り。それを打ち込んでる慶太のセンスがすごいなと。この曲でMVを撮りたいなと思うくらい引きの強い曲だと思います」
涼平「確か〈Time Has Gone〉のときにこの曲のデモを聴かせてもらったんですよ。そのときからカッコいいなと思ってましたね」


12.Sugar
慶太「けっこう前から作っていたんですけど、名曲だと思います。この曲も嫌いな人はいないんじゃないですかね。誰かに楽曲提供してもいいかなと思っていたんです。でも、このタイミングでこのアルバムの最後に入れることができてよかったです。この曲の最大の売りは同じ展開が1回も出てこないところです。だから、どこがサビなのかわからない面白さがあると思います。本当はめちゃくちゃ複雑な曲なんですけど、ナチュラルに聴こえるように仕上げています」
龍一「今まで僕が聴いてきたバラードの中で一番低音が出てますね! 『バラードってこんなに低音が出る!?』って思うくらい。そういう衝撃がありました。ちなみにこのアルバムって全体を通して部屋で聴くと家が震えるんですよ(笑)」
涼平「この曲は個人的に自分のボーカルがすごく気に入っていて。ぜひ注目してもらえたらうれしいです」


インタビュー・テキスト:三宅正一

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